優斗です。
僕は公認会計士として企業の会計監査・コンサルティングに携わる傍ら、個人のお客様の家計改善支援を行ってきました。
その中で感じたことは、企業の会計の仕組みを個人の家計にも生かすべきではないかということでした。
具体的には家計をBS・PLで考えてみようということです。
家計をBS・PLで考えるとは?
企業は多くの人とお金で繋がっています。
出資してくれる株主、お金を貸してくれる債権者、そして事業を行い利益を上げる経営者。
企業は儲けられているのか、この先も安全なのかを報告するために、会計記録を作り、お金を出してくれている人たちに報告します。
この会計記録をする作業が簿記と呼ばれるものです。
会計は外部に報告する目的でも作成されますが、同時に内部で経営者が管理する目的でも作成されます。
主にBS(Balance Sheet=貸借対照表)、PL(Profit & Loss Statement=損益計算書)と呼ばれるものです。
BS・PLを通じて経営者は今の財政状態に問題はないか、経営成績に改善の余地がないか、分析を行っています。
さて、個人の家計については、ともすれば「今お金がどれだけあるか」の1点のみに集中しがちです。
これだけでは「なぜお金がそれだけしかないのか」「どこに改善の余地があるか」考えようがありません。
企業と同じく、BS・PLで多角的に家計を把握することで、家計の改善に役立てることができます。
BS(貸借対照表)
BS(貸借対照表)はある一時点の財産の状況などのストック情報を表すものです。
左側に資産、右側に負債が書かれ、資産と負債の差額が純資産と呼ばれます。
資産とは文字通りの資産で、現金、預金のほか、株式などの金融資産、家を持っていればそれも含まれるでしょう。
負債とは将来払わなければいけないお金、いわゆる借金などです。例えば住宅ローンがあればそれは負債ですし、クレジットカードの引き落としが来月にある場合、それも未払金という負債となります。
そして、資産と負債の差額が純資産と呼ばれます。資産と負債の差額のため、実質的な自分の資産ともいえるでしょう。
純資産が資産と負債の差額で求められるため、以下の式が成り立ちます。
- 資産=負債+純資産
このように右側と左側のバランスがとれている(=一致する)ため、バランスシートと呼ばれているのです。
PL(損益計算書)
PL(損益計算書)はある期間においてどれだけ利益を稼いだかのフロー情報を表すものです。
右側に収益(=入ったお金)、左側に費用(=使ったお金)が記載され、差額がその期間に得られた利益となります。
BSとPLの関係性
さて、BSはある一時点の状態を表すのに対し、PLは一定の期間の状態を表すものです。
そのため両者は密接に関係しています。
例を挙げてみましょう。
例えばXX年1月末時点のBSが、資産100万円、負債10万円、純資産90万円だったとします。
ここから2月には給料として30万円の収入があり、かかった生活費は合計で25万円でした。
さて、2月という1か月の期間におけるPLはどうなるでしょうか?
収益が30万円、費用が25万円ですので、利益は5万円となります。
ではこの時、2月末のBSはどうなりますか?
入ってきたお金が30万円に対して25万円しか使っていないため、資産が5万円増えて105万円になっているはずです。
BSは左右が一致しますので、左側の資産が増えた分、右側も5万円増えていなければなりません。
負債は変わりませんので、純資産が5万円増えて95万円になることになります。
この増えた5万円とは、PL上の利益5万円のことです。
つまり、PLでの利益分だけ、純資産が増えていくことになります。
言い方を変えると、純資産とは過去のPL上の利益の累積とも言えるのです。
目指すべきは純資産の最大化!
さて、お金が欲しいと誰しもが思いますが、それは現金という資産が増えればいいということでしょうか?
BSの概念を踏まえると、必ずしもそうではないといえます。
なぜなら、負債を増やすことでも資産は増えてしまうからです。
極端な話、誰かから1,000万円借りることができれば、資産は+1,000万円です。
しかし、それは同時に負債も+1,000万円になることを意味します。
負債はいずれ支払わなければいけないお金です。
資産が増えても負債が増えていては意味がなく、純資産が増えているかを考えるべきなのです。
私たちが目指すのは純資産の最大化なのです。
純資産を増やすには?
BSとPLの関係から、純資産を増やすにはどうしたらよいか考えてみましょう。
純資産を増やすには具体的には以下の4つです。
- (負債を変えずに)資産を増やす
- (資産を変えずに)負債を減らす
- (収益を変えずに)費用を減らす
- (費用を変えずに)収益を増やす
このブログで伝えたいこと
このブログでは上記の4つ+その他お金の話の5つにカテゴリー化し、それぞれ考えられる手段について解説していきます。
また、記事の冒頭に難易度を記載しています。
★1つは知識がない方でも気軽に取り組めるもの、★5つは知識と覚悟が必要になってくるものになっていますので、ご自分の状況に合わせてお読みください。